現代の鉄は鉄鉱石が製鉄所に水揚げされ、製品が船積みされるまで、
人間は機器のモニタリングが主で、ほとんど自動で製品化されて行
きます。
鉄の製品の中でも、その対極にあるのが日本刀です。
たたらの炉(furnace)の制作に始まり、神事のあと村下(むらげ)
による砂鉄と炭の投入、炉の解体、そのあと回収された玉鋼(たま
はがね)を刀工(swordsmith)たちが鍛錬(forging)を繰り返し
刃(かたな)に仕上げて行きます。その全てのプロセスに人間の精
神と人力が込められます。
その結果として生まれる刀の表面の刃紋(temper pattern)やそり
は、自動化されたプロセスでは考えられない一種の芸術です。
戦うために作られた刀が芸術的価値を持つというのも日本の伝統芸
術のユニークさでしょう。
FESSの仲間には、日本刀剣のスタッフであるMさんがいます。
いずれ皆さんで彼の経験談などをお聞きしたいものです。
鉄というのは冷たくて、触ると怪我をするというイメージが強いで
すが、我々の体の中を巡っているのも鉄です。鉄は酸素と結びつき
やすく、また酸素の少ないところでは酸素を放出し、二酸化炭素と
結びつきます。我々の呼吸と、血液循環を通して行われるガス交換
の主役は、赤血球に含まれるヘモグロビン、すなわち鉄なんです。
硬くて冷たい無機質な鉄もあれば、人間の体温と情熱を感じさせる
有機的な鉄もあるというのは面白いと思いませんか?
アリジイ
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