白杖で見えてきたもの【2022年度コミッティメンバーの自己紹介(2)】

FESSメンバーの皆様、こんにちは。伴です。この度2022年度の副会長という大役を仰せつかりました。不束者ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

この2年間はオンラインレッスンが多いので、あまり皆様にお会いする機会はありませんが、たまにお会いした方々は、私が白杖を持っていることに気づかれたかと思います。実は、私は2018年の夏に視野障害2級の視覚障碍者と認定されていました。でも、まだ見えている、という自負と、「わざわざ道を空けてもらう」ことに抵抗があり、白杖を使うことはあまりありませんでした。それが、2年ほど前からは、外出時には必ず持ち歩くようになりました。きっかけは、ママと手をつないで歩いていた2,3歳くらいのお嬢ちゃんにぶつかってしまったことでした。見えているつもりでも、実際は見えていない部分があり、それで人様を危険な目にあわせてしまうことがわかったのです。

ところが、やむなく持ち始めた白杖でしたが、驚きと感動の連続でした。向こうからくる人が、私の白杖に気づくと、10メートル以上(?)先なのに道を空けてくれるのです。そのあとから続いて来る人々も次から次へと横に移動してくれます。「白杖効果」にまず驚きましたが、その後日も、狭い交差路での出合い頭には、白杖を認めた途端に道を譲ってくれます。駅のホームでは「何かお手伝いしましょうか」と、声をかけてくれます。駅前で今日の買物は西友に行こうかそれともマルエツに行こうか、と、ちょっと迷っていると、「何かお困りですか」と声をかけてくれます。  –人々は、なんて親切なんだろう!!–  善意をそっと行為で表してくれる人、言葉にしてくれる人、それぞれなのですが、世の中の人々の善意が、見えてきました。私も無言の善意に気づけば会釈で、あるいは「ありがとうございます」という言葉で返し、親切な言葉かけには、まず、「ご親切ありがとうございます」と深々と頭を下げ、「でも、大丈夫です。」と、お応えしています。そういう、一瞬のやりとりのあと、とても幸せな気持ちになります。この2年で視力の低下はかなり進みましたが、見えづらくても、確実に視えてきたものがあり、それが私を力づけてくれています。

FESSが私に投げかけてくれた今年度のお役目も、私を勇気づけてくれました。普段外で見知らぬ人々に助けられている私でも、FESSでまだお手伝いできることがあるのかもしれない、と。だから、字が読める限り頑張ってみよう、と。総会で承認してくださったすべての皆様に、最後になってしまいましたが、改めて感謝をお伝えしたいと思います。

伴公子

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